共有持分は自由に売却できる！費用や準備書類、注意すべきトラブルについて
競売の基礎知識
共有持分が競売にかけられたらどうなる？かけられる前と後での対処法を詳しく解説
不動産を複数人で共有する場合、共有持分としてそれぞれの共有者が一定の割合を所有しますが、ほかの共有者の共有持分が競売にかけられるとどうなるのでしょうか。
自分の持分に影響はあるのか、新たな所有者とトラブルに発展しないかなど、さまざまな不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、共有持分が競売にかけられたらどうなるのか、かけられる前と後での対処法も含めて詳しく解説します。
目次
共有持分が競売にかけられたらどうなるのか
共有持分が競売にかけられる場合、共有者は所有する不動産の一部を失う可能性があります。
そもそも共有持分とは、不動産を複数の人が共同で所有している場合の各自の持分のことです。
共有者の一人が借金を抱え、返済が滞ると、債権者はその共有持分を競売にかけられます。
そして、競売により第三者が共有持分を購入すると、その第三者も新たな共有者となります。
これにより、不動産の管理や使用に関する権利が複雑化し、ほかの共有者にとって不利益な状況が生じるでしょう。
共有物分割請求訴訟とは
共有物分割請求訴訟とは、共有不動産の共有状態を解消するための法的手続きです。
共有者の一人が共有不動産の分割を希望する場合、ほかの共有者全員と協議して合意を得ることが理想ですが、合意が得られない場合には裁判所に訴訟を起こせます。
裁判所は、不動産を物理的に分割するか、競売にかけて売却し、その売却代金を共有者間で分割する方法を決定します。
共有持分が競売にかけられる2つのパターン
共有持分が競売にかけられるパターンには、下記の2つがあります。
- 借入の際に自己持分を担保にしていたパターン
- 住宅ローンの返済を滞納したパターン
以下では、それぞれのパターンについて詳しく解説します。
借入の際に自己持分を担保にしていたパターン
共有者が銀行などから借入を行う際に、自分の共有持分を担保にする場合があります。
借入金の返済が滞ると、債権者は担保にした共有持分を競売にかけて債権を回収しようとするでしょう。
この場合、ほかの共有者にとっては突然の競売となり、予期しない第三者が新たな共有者となる可能性があります。
そのため、不動産の管理や利用に関する問題が生じることがあり、迅速な対応が求められます。
住宅ローンの返済を滞納したパターン
共有者が住宅ローンを組み、そのローンの返済が滞った場合にも共有持分が競売にかけられるおそれがあります。
たとえば、夫婦の共同名義で、夫婦がそれぞれ自分の共有持分を担保にして住宅ローンを借りた場合に生じる事例です。
夫婦どちらかの返済が滞ると、金融機関は担保としての共有持分を競売にかけ、債権を回収しようとします。
そのため、ほかの共有者は自分の意図に反して共有不動産の一部を失う可能性があります。
共有持分が競売にかけられた場合の対処法
共有持分が競売にかけられた場合、以下の対処法を試してみてください。
- 競売にかけられた共有持分を落札する
- 競売の取り下げを債権者に交渉する
- 共有持分の売買に応じる
- 自分の持分を第三者に売却する
それでは、それぞれの対処法について詳しく解説します。
競売にかけられた共有持分を落札する
共有持分が競売にかけられた場合の対処法として、ほかの共有者が競売に参加し、競売にかけられた共有持分を落札する方法があります。
これにより、共有持分が第三者の手に渡るのを防ぎ、所有権を確保できます。
ただし、落札に必要な資金を用意するために、事前に資金調達の計画を立てることが重要です。
また、共有者間で資金を出し合う方法も検討できるでしょう。
競売の取り下げを債権者に交渉する
債権者に対して、競売の取り下げを交渉する方法もあります。
返済計画を再調整し、債権者に新たな返済案を提示することで、競売を回避できる場合があります。
共有者全員が協力し、具体的かつ現実的な返済プランを作成することが重要です。
共有持分の売買に応じる
共有持分が競売にかけられ落札された場合には、落札者から残りの共有持分の売買を持ちかけられる可能性があります。
共有持分の売買に応じて第三者に売却するか、落札者の共有持分を買い取る方法も対処法の一つです。
自分の持分を第三者に売却する
共有持分の落札者以外の第三者に、自分の持分を売却する方法もあります。
この方法により、競売による影響を受けずに資金を確保できます。
なお、売却相手は信頼できる人物や企業を選び、不動産の利用や管理に関する合意を取り付けることが重要です。
共有持分が競売にかけられないための対処法
共有持分が競売にかけられることは、ほかの共有者にとっても大きな問題となります。
競売を回避するためには、以下のような対処法があります。
- 共有している不動産の全体を売却する
- 共有者の債務を返済する
- 任意売却を行う
以下に、共有持分が競売にかけられないための対処法をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
共有している不動産の全体を売却する
共有者どうしで話し合い、共有している不動産全体を売却すると、共有持分が競売にかけられるリスクを回避できます。
不動産全体を売却することで、不動産の価値を最大限に引き出し、共有者同士で公平に売却益を分配できるでしょう。
ただし、共有不動産の全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。
共有者の債務を返済する
共有者の債務を返済することで、共有持分が競売にかけられることを防げます。
債務の返済には、共有者全員で協力して資金を集める方法があります。
また、ほかの共有者が一時的に債務を肩代わりし、あとから返済してもらう方法でもよいでしょう。
債務返済により競売のリスクを取り除くことができるため、共有者間の連携が重要です。
任意売却をおこなう
任意売却とは、債権者の同意を得て、市場で自由に不動産を売却する方法です。
競売よりも高値で売却できる可能性が高く、債務の全額返済や残債の減少が期待できます。
任意売却により、競売による不利益を回避し、共有不動産の問題を解決できるでしょう。
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共有持分に関するよくある質問
最後に、共有持分に関するよくある質問と回答について紹介します。
共有持分に関する理解を深め、適切な対応を取るための参考にしてください。
共有不動産が強制執行で差押えられたらどうなる？
共有不動産が強制執行で差押えられた場合、債務者が所有する共有持分が差押えられます。
そのため、債務者以外の共有持分は、差し押さえられません。
共有物分割請求で競売にかけられた場合、自己競落できる？
共有物分割請求で競売にかけられた場合、共有者自身が競売に参加し、自分の持分を競落することは可能です。
自己競落により、共有持分を他の第三者に渡さずに保持することができます。
しかし、競売に参加するための資金を準備することが必要です。
共有物分割の競売にかかる費用はいくら？
共有物分割の競売をする場合には、以下の費用がかかります。
| 費用 | 金額 | |
| 印紙代 | 判決正本1通あたり4,000円 | |
| 予納金 | 物件の固定資産税評価額が2,000万円未満 | 80万円 |
| 物件の固定資産税評価額が2,000万円以上5,000万円未満 | 100万円 | |
| 物件の固定資産税評価額が5000万円以上1億円未満 | 150万円 | |
| 物件の固定資産税評価額が1億円以上 | 200万 | |
| 登録免許税 | 物件の固定資産税評価額の1,000分の4 | |
| 郵便切手 | 944円（844円分と100円分の切手1組） | |
上記は、東京地方裁判所に申立をした場合の費用です。
共有持分の譲渡には税金が発生する？
共有持分の譲渡においては、譲渡益に対して所得税や住民税が発生する可能性があります。
譲渡益とは、譲渡価額から取得費や譲渡費用を差し引いた金額のことです。
譲渡益が発生する場合、金額に応じて税金が課されます。
また、共有持分の譲渡を受けた側には、登録免許税と不動産取得税がかかります。
共有持分は放棄できる？
共有持分を放棄することは可能ですが、放棄には法的手続きが必要です。
放棄することで、共有持分に対する権利や義務をすべて失い、ほかの共有者に対して持分を無償で譲渡する形となります。
そのため、共有持分は放棄するよりも、手続きは必要ですが、売却した方がよいでしょう。
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