
再建築不可物件を高く売るコツとは?売却の方法や注意点まで徹底解説

新築や増築ができない再建築不可物件は、物件や土地の活用方法が限定されるため、売却するのが難しいといわれています。
また、購入者が見つかったとしても、建物や土地の評価額が低くなりやすく、売り手が満足する金額にならないケースも少なくありません。
しかし、再建築不可物件を高く売るにはいくつかのコツや、工夫すべきポイントがあります。
この記事では、再建築不可物件の売却が難しい理由、売却額の相場、高く売るコツや注意点について解説します。
再建築不可物件とは
再建築不可物件とは、その名のとおり「再建築できない条件の土地」のことを指します。
現在建っている家屋のリフォームはできますが、新築や増築をはじめ、建築確認が必要となる作業については行政からの建築許可が得られません。
再建築不可物件になる理由
建築基準法の「接道義務」を果たしていないと、再建築不可物件に該当してしまいます。
接道義務は、万が一の緊急時でも、安心して住める街づくりをするために定められたもので、消防車や救急車などの緊急車両の通路確保を目的とした規定です。
そんな接道義務の具体的な内容は以下のとおりです。
- 土地に建物を建てるときは、建築基準法42条で定義される道路に、間口が2m以上接してなければならない
- 建築基準法42条で定義される道路(原則として幅員4m以上の道路)
ただし、既存の建物については、この規定を満たしていなくても、直ちに罰則が科されることはありません。
再建築不可物件は売却できない?
結論、再建築不可物件の売却はできますが、難しいのも事実といえるでしょう。
再建築不可物件は、土地の活用方法を見出すのが難しく、土地の価値が低いためです。
不動産会社や投資家にとっても購入にあたってリスクが大きいため、買い手がつきにくいという特徴があります。
再建築不可物件の売却が難しい理由
再建築不可物件の売却が難しい理由は、再建築不可物件の購入を検討している人が極端に少ないためです。
具体的には、下記のような原因があります。
- 土地用途の制約が大きい
- 住宅ローンが組みにくい
- 築年数が古い物件が多い
以下では、それぞれの理由について詳しく解説します。
土地用途の制約が大きい
再建築不可物件は解体しても新たな家屋を建てられないため、土地の使い方が限定されます。
不動産の価値は、土地の利用価値によって決まる部分も大きく、一般的な不動産と比べて土地用途の制約がある再建築不可物件は、需要や価値が低下してしまいます。
不動産は20年、30年と将来を見据えて購入されますが、再建築不可物件の場合は増築や新築ができません。
つまり、既存の建物を活用する方法しかなく、購入を検討する人が少ない傾向にあります。
住宅ローンが組みにくい
再建築不可物件は担保価値が低いため、住宅ローンが組みにくいです。
担保価値とは、不動産を売却したときに得られる対価を価値として換算するもので、住宅ローンの審査結果に大きく影響します。
住宅ローンを融資する金融機関は、借りる人の資産状況や属性だけでなく、物件の担保価値を評価したうえで審査の可否を決めます。
再建築不可物件は土地用途の制約が大きく、担保価値が不十分と判断されやすいため、住宅ローンが通りにくいです。
そのため、買い手は現金での購入ができる方か、金利が高めのノンバンクローンでの借り入れを受けられる方に限られてしまいます。
築年数が古い物件が多い
接道義務は、1950年に建築基準法によって定められました。
つまり、再建築不可物件は1950年以前に建てられており、築年数が相当年経過しています。
そのため、住宅設備や建物躯体なども老朽化していることが多く、大幅なリフォームが必要となるケースがほとんどです。
築年数が古い物件は、建物の維持管理や修繕に費用がかかることから、買い手がつきにくいという側面もあります。
再建築不可物件の売却額の相場
再建築不可物件の売却額の相場は、再建築可能な物件の5〜7割程度といわれています。
前述のとおり、新築や増築ができないほか、住宅ローンが組みにくく、土地用途の制約が多いなどの理由から、物件の評価額が下がってしまうためです。
また、購入するリスクの大きさや、現金を用意しなければならない点など、買主が限定的になることも売却額の相場を下げる要因となっています。
再建築不可物件を高く売却するコツ
再建築不可物件を高く売却するコツは、再建築を可能にしてから売却することです。
再建築を可能にするには、以下の3つの方法が考えられます。
- セットバックによる再建築
- 隣地の購入・借地による再建築
- 43条但し書き道路による再建築
続いて、再建築不可物件を高く売却するコツについて詳しく解説します。
セットバックによる再建築
再建築不可物件でも、セットバックをすれば再建築が可能です。
セットバックとは、道路中心線から2m以上後退した場所に建築することを指します。
建築基準法では、土地が2項道路に接道している場合、セットバックをすれば再建築ができるルールがあります。
2項道路とは、接道義務の規定ができた時に、すでに建築物が建ち並んでいる、幅員4m未満の道のうち、特定行政庁が指定した道のことです。
たとえば、面している道路幅が2mの場合、その道路の中心から2m後退した土地部分であれば再建築が可能です。
セットバックによって再建築が可能であることを明記しておくと、再建築可能な物件として高く売却できます。
隣地の購入・借地による再建築
接道義務には、道路幅4m以上のほかにも、道路に接する間口が2m以上でなければならないというルールがあります。
間口が2m未満であることが原因で、再建築不可物件になってしまっている場合、隣地の購入や借地により間口を広げれば、再建築ができるようになります。
隣地の購入や借地はそう簡単ではないかもしれませんが、一度所有者に相談してみるとよいでしょう。
43条但し書き道路による再建築
例外として、接道義務を果たしていなくても、再建築が可能になるケースがあります。
それが建築基準法43条に定められた「43条但し書き道路」です。
建築基準法第43条には、以下のように規定されています。
建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。
引用:e-Gov法令検索「建築基準法」
また、建築基準法施行令の第10条の3項4号には、以下の記載があります。
一 その敷地の周囲に公園、緑地、広場等広い空地を有する建築物であること。
二 その敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道(幅員四メートル以上のものに限る。)に二メートル以上接する建築物であること。
三 その敷地が、その建築物の用途、規模、位置及び構造に応じ、避難及び通行の安全等の目的を達するために十分な幅員を有する通路であって、道路に通ずるものに有効に接する建築物であること。
引用:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」
つまり、建物の周囲に広い土地がある、または安全上支障のない状況であれば、道路に面していなくとも再建築ができるのです。
ただし、43条但し書き道路と認めてもらうためには、特定行政庁の許可が必要とされており、かならずしも許可が出るわけではないことは頭に入れておきましょう。
再建築不可物件をそのまま売却する方法
前章では、再建築ができる状態にする方法を紹介しましたが、どうしても再建築の条件がクリアできない再建築不可物件もあります。
もし再建築ができる状態にするのが難しい場合には、そのまま売却するしかありません。
以下では、再建築不可物件をそのまま売却する方法について解説します。
隣地の方への売却
再建築物件をそのまま売却するのであれば、隣地の方への売却も選択肢の一つです。
隣地所有者が建て替えや増築を考えている場合、思いがけず買取を承諾してくれることがあります。
また、買取はしてもらえなくても、隣地の購入や借地ができる可能性もあるため、まずは話をもちかけてみるとよいでしょう。
買取業者への売却
再建築不可物件の場合、一般の方への売却はなかなか難しいため、不動産会社に買い取ってもらう方法も検討すべきです。
不動産会社は、周辺の隣地を買い取って再建築したり、リフォームして賃貸物件にしたりと、さまざまな活用ノウハウをもっていることから、再建築不可物件でも買い取ってもらえるケースがあります。
再建築不可物件を売却する際の注意点
再建築不可物件を売却するうえでは、以下の3つに注意しましょう。
- 建物の解体をしない
- リフォームをしない
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
再建築不可物件の建物を解体すると新たな家屋を建てられないため、不動産の価値はさらに下がります。
さらに、解体すると「住宅用地の特例」の対象外となり、固定資産税の課税標準額が最大6倍、都市計画税の課税標準額が最大3倍になってしまいます。
また、リフォームは再建築不可物件の価値を高める方法ではありますが、買主のイメージとかけ離れてしまうと売りにくくなるため、買主がついてから実施することをおすすめします。
最後に、複数の不動産会社に査定を依頼することもポイントです。
買主が少ない再建築不可物件だからこそ、しっかりと対応してくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。
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